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給与を〇〇ペイで受け取ることができる?


2022年9月13日開催の「第178回労働政策審議会労働条件分科会」において、厚生労働省より、賃金のデジタル払いに関する具体的な制度設計案の資料が公開されました。
その仕組みの概要と課題を確認します。

賃金支払い原則とデジタル化

賃金の支払いは、労働基準法第24条により、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。

ただし例外として、労働者の同意を得た場合は、労働者が指定する銀行口座への振込みと、証券総合口座への払込みが認められています(労働基準法施行規則第7条)。

賃金のデジタル払いについては、アメリカで幅広く利用されているペイロールカード(賃金の支払いを目的として、使用者が労働者に提供するプリペイドカード)を参考に、2020年の労働政策審議会で導入に向けて議論が始まりました。
厚生労働省は、賃金の支払い方法の例外を緩和する方向で議論を進め、現在、制度導入に向けて検討が行われています。

賃金デジタル払い推進の背景

賃金のデジタル払いは、感染症予防に役立つ非接触を基本とした「新しい生活様式」に対応した規制改革推進の一環として位置付けられています。

賃金のデジタル払いを解禁することにより、個人のキャッシュレス化を加速させ、行政手続きをはじめとする社会全体のデジタル化を推進することが期待されています。

また副業・兼業や短時間正社員制度、テレワークなど、様々な働き方が広がるなかで、賃金の支払い方法にも多様性が求められています。

特に銀行口座の開設が難しい外国人労働者に対して、金融・通信などの生活サービス環境を改善することにより、外国人材の受け入れを拡充する狙いもあります。

賃金デジタル払いの仕組み

賃金のデジタル払いとは、労働者の同意を得て、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座へ送金するキャッシュレスによる賃金の支払い方法です。

資金移動業者の指定要件としては、主に以下の内容が盛り込まれています。

  • 口座残高上限額を100万円以下とすること、
  • ATMを通じて1円単位で賃金の受け取りを可能とし、少なくとも月1回は手数料無料で受け取りができること、
  • 資金移動業者が破綻した場合は、口座残高を速やかに弁済する補償の仕組みを備えること

なお、指定要件を満たさなくなった場合や、資金決済法に基づく処分を受けた場合、厚生労働大臣は資金移動業者の指定を取り消すことができる権限を備える、としています。

【Q&A】デジタル払いに関するよくある疑問


Q. 労働者が希望すれば、デジタル払いにしてもらえるのですか?

A. 使用者には、賃金のデジタル払いに関するルールを設定し、必要事項を労働者に説明することが義務化される予定です。
また、支払い方法に対して労働者の同意を得る際には、銀行口座や証券総合口座もあわせて選択できるようにすることが検討されています。  

さらに、賃金のデジタル払いには労使協定の締結が求められ、労使協定の内容として、①対象労働者の範囲、②対象となる賃金の範囲とその金額、③取扱資金移動業者の範囲、④実施開始時期などが挙げられています。

Q. 銀行口座での受け取りを希望する人も、デジタル払いに変更されてしまうのですか?

A. 強制的に変更されることはありません。
賃金のデジタル払いは、あくまで「労働者の同意」が前提です。
会社側は、デジタル払いのルールを事前にしっかり説明する義務があり、同意を取る際にも銀行口座や証券総合口座をあわせて選べるようにすることが検討されています。
そのため、これまで通り銀行口座で受け取りたい方は拒否することができます。

Q. 全額デジタル払いでは額が大きすぎます。
一部分のみデジタル払い、残りは銀行口座も選択できますか?

A. 一部分のみの選択も可能です。
デジタル払いを実施するにあたっては、会社と労働者の間で「労使協定」を結ぶ必要があります。
その協定の中で「対象となる賃金の範囲や金額」を自由に決めることができるため、「毎月〇万円だけをデジタル払いにし、残りは銀行口座に振り込む」といった柔軟な指定ができます。

Q. デジタル払いの業者は自由に選べますか?

A. 会社が指定した「取扱資金移動業者」の中から選ぶことになります。
労使協定の中で、会社がどこの業者(〇〇ペイなど)を取り扱うかをあらかじめ決定します。
労働者は、その会社が対応している業者の中から、自分が利用したいものを選ぶ形になります。

Q. 指定資金移動者(〇〇ペイなど)が万が一倒産した場合、支払われた給与は消えてしまうのですか?

A. 労働者に十分な額が早期に支払われるよう、国が防衛スキーム(資金保全のスキーム)を検討中です。
賃金のデジタル払いは、振込みに必要な情報と振込みエラーへの対応が個別の資金移動業者によって異なるため、賃金の支払いの手続きが煩雑になる点が懸念されています。

また資金移動業者が破綻した場合、預金保険制度のある銀行と比較して、供託額が十分ではなく、債権額に応じて按分した額しか受け取れない可能性が問題視されています。

そのため労働政策審議会では、破綻した資金移動業者の口座にある賃金について、労働者に対し、十分な額が早期に支払われる仕組みとして、資金保全のスキームづくりを検討中です。
さらには、セキュリティ対策の強化や、個人情報の取り扱いについても、漏えい、滅失、毀損の防止の対策を講じる必要があるとしています。

今後の解禁に向けて、引き続き、賃金のデジタル払いの動向を注視していきましょう。


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